欢迎您光临日语考试网,专业、专注、专心,为您服务!


“猫の家”がある会社も珍しいだろう。そこの社長も一風変わった人、と思うであろう。そんなことから動物愛護協会を通して週刊誌が取材を申し込んで来たとき、姉はきっぱりと断わった。面白半分に扱われては傷つくだけだし、公開するようなことではないというのが社長である姉の一貫した姿勢である。
二十六匹から少しは減ったとはいえ、その苦労は物心共に大変なことである。一匹の猫を救ったその日から猫と姉はおなじ道を歩くことになる。世の中には安易に猫を拾い、病気したり尻クセが悪いとすぐに捨てて平気な人が多い。
姉の会社もその害をこうむって久しい。夜は無人となる敷地内は猫捨てにちょうどよい場所である。春夏秋冬切れ目なく憐れな声が姉の出勤を待っているのだ。「またよ……」。姉は抱きあげ湯で洗い獣医を呼んで栄養注射を打つ。スポイトやガーゼでミルクをのませ、根気よく便の仕方を教える。
姉は時折り声を放って泣くことがある。生きとし生ける者への愛の深さ、憐れを見過ごしにできない自分の性格を泣くのである。仔猫を拾わねばよいのだ。一瞬目をつむることで長い苦労を背負いこまなくて済むのだ。
姉は猫好きなのではない。どちらかといえば動物に遠いところで優雅なムードを愉しみたい人種である。あんなに黒が好きだった姉が濃い色の洋服を着なくなったのも猫と暮らしはじめてからである。「いつになったら毛まみれの生活から脱出できるのかねえ……」。
二、三カ月経ったころに避妊手術が行なわれる。獣医が出張して一日に三、四匹ずつ。この手術には私が立ち合う。姉は正視できないのと、手術台の猫が少しでももがくと「先生麻酔をふやしてやってくださいッ」と叫ぶので獣医も閉口するのである。私は姉よりも猫との距離があるので獣医助手がつとまるわけだ。
「ハイ、これ雌です」「次は男の子よ先生」てな調子で、網をかぶせての麻酔から摘出手術、縫合、名前を書いた箱へ入れて積みあげるところまで先生の指示に従ってやってのける。これまで何匹の猫ちゃんを手がけたか、もう忘れてしまった。この手術を怠るとそれこそ野良猫天国になってしまうだろう。
四十日も患って死んでいった猫、国道へとび出して轢死《れきし》したもの数知れず。この、猫の死に対して泣くのは私であって姉ではない。姉には充分に世話をした人だけに与えられる諦観があるのであろう。そして、寿命という言葉に縋《すが》って一つ一つ肩の荷を脱いでゆくのが私には見える。しんとした姉の横顔に。
ここの猫は霊園へ運ばれて戒名を貰い永代供養を受ける。「猫になりたいよ」と言った牛乳屋さんがあった。

春はおぼろ重ね返事の猫叩く

RIPRO主题是一个优秀的主题,极致后台体验,无插件,集成会员系统
日语考试库 » 言葉をください43