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おやすみ新子
深夜の二時が近かった。
「もしもし、ああ起きていてくださいましたか」
「ハイ」
「だまって聞いてください。あなたはきれいです。すべてがきれいな人だ」
「いいえ、とんでもない、私は」
「だまって聞いてください。あなたはきれいな人なんです」
それから三十分、電話はつながっているのだが声は無い。誰だろう? あの人、この人、ちがうちがう。じゃあイタズラ電話? でもどこかで聞いた声、思い出せない。
そのうちに泣いている気配が伝わって来た。
「お墓を作っていいですか」
「ハイ」
「あなたの名前も一緒に刻ませてください」
「ハイ」
「あまり暗い場所はやめましょう」
「ハイ」
「ありがとう。どうぞ休んでください。長い時間ほんとうにありがとう。眠ってください」
「あの……」
「雨だからあったかくして。おやすみ新子」
電話が切れた。
どこかで水が洩れている。規則正しいその音が「この世」であることを証す唯一のものであった。
私はいつだったか「言葉をください」と祈ったことがある。女はそのひと言を支えに生きていけるのだから「言葉をください」。
今、私の信ずる巨《おお》きな力がそれをくれたのだ。誰も知らない深夜の二時、外は雨。力は言葉をくれたのだ。
みひらいていた両の目から滝のように涙があふれた。どんどんあふれた。
声の詮索はしないでおこう。しないでおけばいつかまた「声」は私を訪ねてくれるであろう。「おやすみ新子」──この言葉だけでいい。私は他の何も要らない。
ベッドにもぐって天井へ句を書いた。雨の音は一段と激しくなっていた。

川は流れる横の男は誰だろう
ころしてよ頸に冷たい手を巻いてよ
抱かれけり一升瓶を抱くごとく
こんないのちでよろしいならば風呂敷に

 あの人も眠ったであろうか。
巨きな力によって私は「あの人」とめぐり逢うのかもしれない。そのときは、ためらわず死のうと思う。さいわい墓は刻まれつつあるそうだから何も案ずることはない。
「私も衰えました」
「そんなことどうだっていい。あなたは美しい人だ。さあ、おやすみ新子」

 ここまで読み通して下さった男性に感謝する。

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