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「28歳無職と57歳無職の約束」

「ああ、そうそう。俺も半年前に、クビになってん」 東京で派遣切りに遭い、にっちもさっちもいかなくなって、実家に帰ってきた僕を迎えたのは、そんな父親の衝撃的な一言だった。

 仕事もない。金もない。ついでに彼女もいない。先行きに不安を感じざるを得ない28歳無職に比べて、57歳無職はどこまでも明るかった。

「失業保険切れたら、家の収入源はお母さんのパートだけや。はよ仕事みつけな、飢え死にやな」

 そう言って、父は愉快そうに缶ビールをあおる。飢え死にの何がそんなに愉快なのかは、いまいち理解できなかった僕だが、それでも「はよ仕事みつけな」という点だけは、大いに同感だった。言葉にこそ出さなかったものの、晩酌につく父のビールが、いつの間にか第三のビールになっていて、今すぐ逼迫することはないにしても、以前より家計に余裕がなくなっているのは確かなのだろう。それにこの危機感の薄い親には、齧りたくても、齧るスネがないことは、間違いなかった。

「どっちが早く仕事見つけるか勝負やな」

 28歳と57歳の親子対決。しかも勝負方法は職探し。思わず、苦笑せざるを得ない。

「勝負なら、賭ける?」

 僕は自分に発破をかける意味も込めて言った。賭けといえば、子供の頃、父には花札でよく小遣いを巻き上げられていたのだ。あの時の恨みを晴らすためにも、負けるわけにはいかない。

「よし、負けたほうが飯奢ることな」

 父はすぐに快諾した。だけでなく、具体的な条件まで出してきた。

「約束だぞ」

 そう念を押した父は、幼い子供相手に、必殺の猪鹿蝶を決めた昔の頃のような、ゆるい勝負師の顔をしていた。

 

 まさか、それで発奮したわけじゃあるまいが、いち早く仕事を決めたのは、父の方だった。

 日給五千円の配達のアルバイト。父はバイト初日の仕事終わりを約束の期日に指定した。

 僕はなけなしの貯金から、父にご飯を奢るための資金を引き出すと、待ち合わせ場所の駅前に向かった。

「おお、来たか!」

 既に待っていた父は、僕を見つけると、「こっちや」と言って、歩き出した。回らない寿司屋にでも連れて行かれるかと、ビクビクしていた僕だが、辿り着いたのは、ごく普通の居酒屋チェーン店だった。

 57歳のフリーターは、その日も明るかった。よく食べ、よく飲み、ひたすらに喋った。

「仕事、なかなかみつからんか?」

「うん。一応、結果待ちが、あるにはあるけど…」

「そうか。まあ不景気やしな。そのうちなんとかなるやろ。まだ若いんやから、焦らんでええわ」

 28歳は決して若いとは言えない。それでも、父のバイタリティーを、僕も見習いたくなった。

 そして、結局、この日、お金を払ったのは父だった。

「今日は俺が出したる」

「でも、約束だったから…」

「金もないくせに、何言うてんねん。そんなん、賭けに勝つより、早く就職してくれた方がよっぽど嬉しいわ。今日は就職の前祝いや」

 そう言って、僕から伝票を取り上げると、さっさと会計を済ませてしまった。それから、すっかり顔の赤くなった父と、新しい約束を取り交わした。

「就職したら寿司で返せよ」

 今度の約束は絶対にはたそう。

 僕は心の中で、自分にそう誓った。

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