「朝の詩」

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所属分类:日语随笔集

「おい、来とるようなぞ。」 目覚めたばかりの私の耳に、もうすでにリビングを歩いている夫の声が届く。

「本当?ごめん、寝過ごしてしもうた。」

 うっすらと明け初めた朝の光。耳を澄ますと、チチ、チチとかわいい声が聞こえてくる。

 そう、毎朝わが家にいらっしゃるお客様のおでましなのです。私は急いで身支度をすると、キッチンからお客様のお食事の入ったボウルをとってきて、庭に面したガラス戸を開ける。でも姿は見えない。私は口笛を吹いて、「チュンちゃん、おいで。おなかすいたよね。」と言いながら、ボウルの中の残りご飯を、土の上にまく。そして、また口笛を吹き、ご飯をまく。二、三度繰り返して、カーテンの陰に隠れて様子をうかがっていると、来るわ来るわ、下の畑の柿の木から、向かいの家の屋根から、はたまた竹林の方から、まずはわが家の松の木にとまり、それからおおでまりの木に移り、物干しざおに移動し、植木鉢の陰へ、そして辺りを気にしながら、ちょんちょん、ちょんちょんと跳びつつ、ご飯を食べにやってくるのだ。中には、松の木やわが家の屋根から直接、バタバタバタと羽音をたてながら、ご飯の上に降りてくるものもいる。総勢四十羽はいようか。その四十羽のスズメたちが、毎朝わが家を訪れるお客様なのです。

 ご飯のときもあればパンのときもあるが、朝スズメたちに餌をやるようになって久しい。今では、彼らに会わなければ一日が始まらないほどになった。けんかをしながら食べているものもいる。ときには一枚のぶどうパンを、四方から仲良くつつき合っていることもある。中には雛なのか、ふっくらした体で羽を動かしつつ、親から口移しに餌をもらっているものもいる。様子を見ているといつまでも飽きない。でも、こちらがうっかり動いたりすると、バッと大きな音を残して逃げてしまう。

「チュンちゃん、逃げんかったらもっとかわいいのに。」

「仕方ないよ、それが野生なんじゃ。」

 夫はあっさり言う。

 私はこの残念な思いやスズメの様子を、あるとき授業中に話した。すると、中学生は、意外にもよく話に乗ってくれた。

「逃げても、また来るならええが。」

「どらネコがおっても、食べに来んのよ。」

「やっぱりな。それ、先生に似たネコじゃろ。」

 どっと笑いが起こる。私も思わず苦笑。

「先生、スズメの名前は全部チュンちゃん?」

「そう。女の子はチュンコにしようか。」

「あほくさ、聞いとられん。」

 またまた笑いの渦。

 ところで私は、最近あまりいらいらしなくなった。朝楽しい思いをするからか、生徒たちに余裕をもって接することができるようだ。

「それって、スズメの恩返しなんかなあ。」

「へえ?恩返しをするのはツルじゃろうが。」

 夫は笑う。こんな幸せな会話も、やっぱりチュンちゃんのおかげなのだろう。

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