方丈記

ゆく河の流れ

 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消え、...

安元の大火

 予(われ)、ものの心を知れりしより、四十(よそぢ)あまりの春秋(しゅんじう)をおく...

治承の辻風

 また、治承(ぢしよう)四年卯月(うづき)のころ、中御門京極(なかみかどきやうごく)...

福原遷都(一)

 また、治承四年水無月(みなづき)のころ、にはかに都遷(うつ)りはべりき。いと、思ひ...

福原遷都(二)

 その時おのづからことの便りありて、津の国の今の京に至れり。所のありさまを見るに、そ...

養和の飢饉(一)

 また養和のころとか、久しくなりて覚えず、二年があひだ、世の中飢渇(けかつ)して、あ...

養和の飢饉(二)

 前の年、かくの如く辛うじて暮れぬ。明くる年は立ち直るべきかと思ふほどに、あまりさへ...

養和の飢饉(三)

 また、いとあはれなる事も侍りき。さりがたき妻(め)·をとこ持ちたるも...

元暦の大地震

 また、同じころかとよ、おびただしく大地震(おほなゐ)ふることはべりき。そのさま、世...

処世の不安

 すべて世の中のありにくく、わが身と住みかとの、はかなく、あだなるさま、またかくのご...

出世遁世

 わが身、父方の祖母(おほば)の家を伝へて、久しくかの所に住む、その後、縁(えん)欠...

方丈の庵(一)

 ここに、六十(むそじ)の露消えがたに及びて、さらに末葉(すゑば)の宿りを結べること...

方丈の庵(二)

 その所のさまを言はば、南に懸樋(かけひ)あり、岩を立てて水をためたり。竹の木近けれ...

早暁の念仏

  そもそも、一期(いちご)の月影かたぶきて、余算(よさん)、山...

【方丈記について】

 作者の鴨長明は、鎌倉時代の歌人·文人。本来は「かものながあきら」と読...