原文那須の黒ばねと云所に知人あれば、是より野越にかゝりて、直道すぐみちをゆかんとす。...
原文黒羽の館代浄坊寺何がしの方に音信おとづる。思ひがけぬあるじの悦び、日夜語りつゞけ...
原文当国雲岸寺のおくに、仏頂和尚山居跡有。 竪横の五尺にたらぬ草の庵むすぶ...
原文是より殺生石に行。館代より馬にて送らる。此口付のおのこ、「短冊得させよ」と乞。や...
原文心許なき日かず重るまゝに、白川の関にかゝりて旅心定りぬ。「いかで都へ」と便求しも...
原文とかくして越行まゝに、あぶくま川を渡る。左に会津根高く、右に岩城・相馬・三春の庄...
原文等窮が宅を出て五里計ばかり、檜皮ひはだの宿を離れてあさか山有。路より近し。此あた...
原文あくれば、しのぶもぢ摺の石を尋て、忍ぶのさとに行。遙山陰の小里に石半なかば土に埋...
原文月の輪のわたしを越て、瀬の上と云宿に出づ。佐藤庄司が旧跡は、左の山際一里半計いち...
原文其夜飯塚にとまる。温泉(いでゆ)あれば、湯に入て宿をかるに、土坐に莚(むしろ)を...
原文鐙摺、白石の城を過、笠島の郡(こおり)に入れば、藤中将実方の塚はいづくのほどなら...
原文武隈の松にこそ、め覚る心地はすれ。根は土際より二木にわかれて、昔の姿うしなはずと...
原文名取川を渡て仙台に入。あやめふく日也。旅宿をもとめて、四、五日逗留す。爰(ここ)...
原文かの画図にまかせてたどり行ば、おくの細道の山際に十符(とふ)の菅(すげ)有。今も...
原文それより野田の玉川・沖の石を尋ぬ。末の松山は、寺を造て末松山(まっしょうざん)と...
原文早朝、塩がまの明神に詣。国守再興せられて、宮柱ふとしく、彩椽(さいてん)きらびや...